ヘルニア手術
ソケイヘルニア、大腿ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア、臍ヘルニア、再発ヘルニアなど患者さんの状況に合わせて適切な治療法で対処したいと考えています。
腹腔鏡手術は、ヘルニア手術においても選択肢の1つとして急速に拡がってきています。
もちろん当院においても施行可能です。
腹腔鏡手術でのヘルニア修復の特徴は、お腹の中(腹腔内)からヘルニアを直接観察することにより、従来の方法よりヘルニアの状態を直接確認できる点が優れており、修復する部位がはっきりとわかる点が最大の利点です。
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そけいヘルニア外来
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そけいヘルニアって??

太もももしくは、足の付け根の部分を「そけい(鼠径)部」と言います。
本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる下腹部の良性疾患です。 そけいヘルニア(脱腸)は、子供の病気と思われがちですが、むしろ、鼠径部の筋膜が弱くなる中高年層に多い病気です。
成人のそけいヘルニアは、自然に治らないため、治療には手術が必要になります。
そけいヘルニアの症状は??
- 押すと元に戻るそけい部の柔らかい膨らみ(普通は指で押さえると引っ込みます)
- そけい部の突っ張り感、不快感、違和感、痛み
- そけい部が引っ張られる感覚
これをヘルニアのカントン(陥頓)といい、緊急手術が必要です。
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![]() 引っ込まない (カントン)⇒ 緊急手術 |
そけいヘルニアの治療法は??
そけいヘルニアは、投薬で治すことは出来ません。
そけいヘルニアは、現在では人工補強材(メッシュ)を使用して修復を行う方法が主流ですが、「メッシュプラグ法」、「クーゲル法」、「腹腔鏡下そけいヘルニア修復法」などが行われています。
「メッシュプラグ法」とは?
「メッシュプラグ法」は、現在日本で最も多く用いられている手術法です。
ポリプロピレン製のプラグを筋膜の弱い部分に入れて、ヘルニアの出口を塞ぎます。
ポリプロピレンメッシュは、50年ほど前から使用され、プラグは、現在世界で400万個以上の臨床試用の実績があり、体内使用の安全性は確立されています。
メッシュプラグ法のメリットは?
- ピンポイントで修復するため、再発症例や前立腺手術歴がある患者さまにも行える。
- 剥離が少ないため、手術時間が短くてすむ。
- 全身麻酔を用いずに手術が出来る。
「クーゲル法」とは?
クーゲル法は、ヘルニアの穴を筋膜の内側から塞ぐ合理的な方法です。
腹膜と筋肉の間に、メッシュを入れますので、腹圧(お腹の圧力)がかかると、メッシュはより強く筋肉に押し当てられて密着します。
クーゲル法は腰椎麻酔(下半身麻酔)で手術できるので、体にかかる負担はより少なくてすみます。
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クーゲル法のメリットは?
- ヘルニアの再発率が低い
- 腹圧により、メッシュがより安定する
- ヘルニアの起こりうるすべての場所を同時に覆うことが出来る
- 手術時間が短くてすむ
- 全身麻酔を用いずに手術ができる
「腹腔鏡下そけいヘルニア修復法」とは?
腹腔鏡下そけいヘルニア修復法は、腹腔鏡(細い管の先端に付いた手術器具)を使用して、手術を行う方法です。腹腔鏡下手術では、従来から行われて いるお腹を切開する開腹手術(オープン法)と異なり、まずお腹に5mmから10mmの小さな穴を3ヶ所程度あけます。そのうちの1つの穴から腹腔鏡を入れ てお腹の中を映します。その像をテレビモニタで観察して、ヘルニアの場所を見つけ、別の穴から入れた手術器具を外科医が操作して患部の治療をします。
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腹腔鏡下手術のメリットは?
- 傷が小さく美容的に優れている。
- 傷あとが小さく痛みが少ない。(開腹手術では5cm程度)
- 痛みが少ないため、日常生活に早く戻れる。
- ヘルニア発生部位が左右の2ヶ所にあっても全く同じ傷で治療できる。
- お腹の中(腹腔内)を観察しながら手術を行うので、症状が出ていない小さなヘルニアの見落としが少ない。
- お腹の中から確実にヘルニアの穴を見つけメッシュを充てるため再発が少ない。
当院では、よりメリットの高い「腹腔鏡下そけいヘルニア修復術」を第一選択としています が、全身状態やご希望に合わせて、メッシュプラグ法やクーゲル法を選択しております。陥頓症例た感染する可能性が高い場合は、メッシュを使わない従来法も 行っており、どのような手術にも対応することができます。
そけいヘルニアでお悩みの方がいらっしゃいましたら、いつでもお気軽に外科外来を受診してください。