<骨シンチグラフィ>
骨シンチグラフィーはテクネチウム(
99mTc) というラジオアイソトー
プを含んだ薬剤を注射して行う核医学検査です。この検査は注射した
薬剤が、2~3時間後に骨に集積して骨の代謝や反応が盛んなところに
集まる性質を利用して、骨腫瘍(転移)や骨の炎症、骨折の有無など
を調べます。検査(撮影)時間は約50分ぐらいになります。



<心筋シンチグラフィ>
心臓の血管(冠動脈)が詰まっていたり、詰まりかけている場合、その先
の心筋細胞に流れ込む血液の量が減少し、栄養と酸素が十分に届かなく
なります。すると心臓の動きが悪くなったり、不整脈が出たり、最悪の
場合は心臓の細胞が死んでしまうこともあります。
心筋シンチは、血管のかたちではなく、その先の心筋細胞の状態を調べ
て、心臓の機能を確認することができる検査で、血流や代謝、交感神経
機能をみるなど、いくつかの方法があります。
(
201Tl 負荷心筋シンチグラフィ)
この検査では、心臓に負荷がかかった状態と同じ状況にするために、わ
ざと、心臓を負荷がかかった状態にさせ、
201Tl を注射して、どのくら
い心筋細胞に血流が保たれているかをシンチカメラで撮像します。
心臓に負荷をかけるのは、運動や薬剤によって行いますが、血圧や脈拍
などを循環器内科の医師がきちんと把握しながらの検査になります(負
荷時の検査)。
次に、安静な状態で3~4時間後(負荷時の撮影終了から) 、心筋細胞に
どのくらい血流が保たれているかを撮像します(安静時の検査)。この
2つの画像(負荷時と安静時)を比較することで、負荷がかかった状態
と安静な状態の心筋細胞の血流の状態にどれくらい差があるのかをみま
す。
一回目の検査(負荷・撮影)時間が約50分で、2回目の検査(撮影)時間が
約25分ぐらいになります。


(心筋交感神経シンチグラフィ
123I-MIBG)
心臓の周りにも神経がはりめぐらされています。心臓に障害(ダメ
ージ)が起きると、神経機能も通常どおりの働きではなくなります。
この検査では、神経(交感神経)の状態を反映する放射性薬品を注
射したのちに、15分後と3時間後の2回、心臓を撮像します。この
検査は、神経内科でも、認知症・パーキンソン病・レビー小体病の
鑑別に使用されることもあります。


(その他の心筋検査)
心筋2核種検査(
201Tl +
123I-BMIPP 脂肪酸代謝)
心筋2核種検査(
201Tl +
99mTc-PYP 急性心筋梗塞検査)
心筋2核種検査(
201Tl +
123I-MIBG 交感神経)
などがあります。
<脳血流シンチグラフィ>
脳血流シンチグラフィは、脳の血の巡りのいいところ、悪いところ
を画像化することができる検査です。また、認知症や変性疾患の鑑
別診断や負荷薬剤を使用しての脳血管障害の病態評価も検査できま
す。
当院では、
99mTC - ECDという放射性薬品を使用して、非採血法
(パトラックプロット法)を用いて血流量を算出しています。
検査時間は、定性検査(脳血流状態、認知症や変性疾患の鑑別診断
)は、約40分ぐらいで、定量検査(脳血流量、負荷薬剤を使用しての
脳血管障害の病態評価)は、約1時間ぐらいかかります。




<肺血流シンチグラフィ
99mTc-MAA >
肺血流シンチグラフィは肺血流分布を調べる検査で、 肺塞栓の早期
診断や治療効果の判定、大動脈炎症候群
の肺血流評価、肺高血圧の
評価、左右シャント疾患の評価に使用されます。
検査時間は、約50分ぐらいです。


<腫瘍・炎症
67Ga シンチグラフィ>
悪性腫瘍が疑われたとき、高熱が続き炎症の部位が特定できない
ときに行う検査です。また、甲状腺未分化癌、分化癌未分化転化
の診断、サルコイドーシスの診断にも使用される検査です。
放射性薬品を投与後約42~72時間後に撮影し、その分布を画像に
します。



<肝受容体シンチグラフィ
99mTc-GSA >
局所肝機能を評価する検査で、肝切除術前における術後残肝機能予測
、肝内胆管癌などにともなう局所肝機能障害の評価、肝癌の経動脈的
塞栓療法などの治療前後における局所肝機能の評価などの目的に行わ
れます。


<その他の検査>
(甲状腺摂取率検査)
(甲状腺シンチグラフィ)
(副甲状腺シンチグラフィ)
(副腎皮質シンチグラフィ)
(副腎髄質シンチグラフィ)
(蛋白漏出シンチグラフィ)
(消化管出血シンチグラフィ)
(腎シンチグラフィ 静態 動態)
などの検査もあります。
(その他の検査は当院では極端に稀な検査です)