当院の共同研究の成果が学術誌『PLOS ONE』に掲載されました。
はじめに
大腿骨骨折(HipFx)術後の機能回復に影響する重要な因子として認知機能が挙げられます。しかし、HipFx患者における認知症の病態生理学に関する文献は少ないです。本研究では、臨床所見と脳MRI所見を用いてHipFx患者における認知症の鑑別診断を行いました。
方法
本研究は、研究目的でHipFx患者の脳MRIを評価した前向き研究です。当院で手術を受け、その後脳MRI検査が可能な105名のHipFx患者(女性85名、男性20名)を評価しました。平均年齢は84歳でした。認知症の有無は、臨床所見と国際疾病分類第10版(ICD-10)の診断基準に基づいて判定しました。認知症の鑑別診断は、脳MRI所見と日本神経学会が2017年に公表した「認知症診療ガイドライン」に掲載されている認知症診断フローチャートに基づいて行いました。アルツハイマー病(AD)型、無症候性の多発性脳梗塞、過去の症候性脳梗塞または脳出血、ビンスワング病(BW)型、慢性硬膜下血腫、不釣り合いに拡大したくも膜下腔水頭症(DESH)、およびそれらの組み合わせが認められました。認知症患者のMRIおよび臨床所見を組み合わせると、認知症サブタイプの分布は以下の通りでした:AD(n = 20)、血管性認知症(n= 33)、ADおよびBW血管性認知症(n = 3)。
結果
ICD-10基準に基づいて臨床的に認知症と診断された患者は56名(53%)でした。MRI所見は多様でした:AD型、無症状の多発性脳梗塞、過去の症候性脳梗塞または脳出血、BW型、慢性硬膜下血腫、不釣り合いに拡大したくも膜下腔水頭症(DESH)、およびそれらの組み合わせ。認知症患者のMRIおよび臨床所見を組み合わせると、認知症サブタイプの分布は以下の通りでした:AD(n = 20)、血管性認知症(n = 33)、ADおよびBW血管性認知症(n = 3)。
結論
本研究は、HipFx患者の脳MRI所見は多様であることを明らかにしました。血管性認知症はこの特定の集団で一般的であることがわかりますが、これは偶発的な発見である可能性があります。さらなる研究は、患者数を増加させ、対照を設定し、認知症サブタイプが術後の歩行獲得や転倒リスクに影響を及ぼすかどうかを調査することにより、私たちの findingsの特定性を明らかにする必要があります。
詳しくは以下を参照ください。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0265636